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新成人の皆さま、ご成人おめでとうございます。


さて今年も成人式(に参加する新成人の皆さんの晴れ着)の見学に行ってきました。
去年は雨でかわいそうだったので、今年は快晴でほんと良かった!めでたい!

京都市は午前と午後の2回に分けて行われるのですが、今年はご予約の関係で午後の部へ。
去年は午前の部を見に行ったのですが、初めて午後の部に行ったら去年と全然雰囲気が違ってびっくり。
学区で分かれているからかな?と思い調べてみたら学区は関係なくて好きな方を選べるそうな。
やや派手めなグループが集中したようでした。




以下、晴れ着を観察した結果と考察です!
色柄、ヘアメイクを含めた着こなし、着付け に分けて書き出しました。


☆色柄
・赤黒ぼかしがやたら多い!それも金彩や刺繍は少なめの渋い柄ゆき。かっこいい系の子が多かったけど、ロックというほどではなくてヘアメイクも割と普通。
・事前の業界情報通り白地やクリーム地が例年より目立つ。他にも白っぽいパステルなど淡い色合いは結構多かったけど、去年と違うのはフェアリー系やガーリーではないこと。あっさりだけどお洒落、な印象。
・めっちゃ個性的なきものは意外と少ない。いわゆる「カタログに載ってそう」な振袖が多い。
・絵羽模様ではない小紋柄の振袖もちらほら。レンタルで見かけるようになったと思ったら成人式でも着られてるのね。(※絵羽模様とは、縫い合わせをまたいで続くように柄が配されたもの。仮縫いの状態で柄を決め、一度反物に戻して染めてから仕立てるため手間がかかる。対して小紋柄は同じパターンを繰り返し染めたもので、縫い目の部分で柄が途切れたり背中の柄は上下逆転したりする。絵羽よりは安価に作れるため普段着に多く使われる。)
・超クラッシックな古典柄や絞りがリバイバルな印象。ママ振りの影響?
・色無地の振袖を2名発見。やっぱり色無地かっこいい…!無地なのにあんなに目を引くのはほんと不思議。
・自分で染めたのかな?という創作っぽい子も。真相は分からないけれどオリジナルは目立つ!


☆着こなし
・ふわふわショールの着用率は予想以上に高い!去年よりも多い印象。フェザーが多いなか一人だけファーのお嬢さんがいて、フェザーよりも上品だし長持ちしそう。(フェザーより高価だろうけど)
・帯結びはふくら雀系が意外と多くてびっくり。これも古典リバイバルの影響なのか?お母さん着付けっぽい雰囲気の子も。
・ブーツは2名発見。一人は定番の編み上げ黒ブーツ、もう一人はブロックヒール。
・ヘアは変わらず低め、ゆるめ。ポンポンマム重ねづけが目立つ。組紐ブームはひと段落したよう。
・特に印象的だったのは墨黒の地に赤系で流水に椿の柄、臙脂のベルベットショール(裾ループがかわいい)のお嬢さん。内巻きのぱっつんショートボブに白のヘッドドレス。ドーリィなメイクが似合っててかわいかった!世界観徹底してて完成度抜群。
・個性あるなぁっていう子は着物がめっちゃ凝ってるかヘアメイク・小物が個性的かのどちらか。振袖はお下がりやレンタルの可能性も高いので、ヘアメイク・アクセでちゃんと自分を表現できてる子はこだわってるなって一瞬で伝わる。
・男の子の袴姿は去年よりも多い印象。ただ色・柄袴がほとんど。黒紋付きは一人も見つけられなかった…
スーツにお金かけてヘアもこの日のために整えてきたって感じの子が多かった!小耳に挟んだ会話では10万越えのスーツだという子も。ネクタイもおしゃれな子が多かったな。スーツは今も細身がトレンドなのね。


☆着付け
・裾が広がっちゃってる子がちらほら。逆に綺麗に裾すぼまりの子が少ない…?見てると皆さん急に走るし久しぶりの再会に手を取り合ってキャッキャ飛び跳ねたり、楽しそうによく動くので動けて苦しくなくなおかつ崩れない着付けが必須。ひゃぁ。。。
・やっぱりおはしょり目立つ…!あと衣紋も。抜きすぎくらい抜く、綺麗なカーブにすることの大事さ…
・前は柄の華やかさに目が行くので、客観的には前より後ろ姿が目立つ。仕事柄かもしれないけど帯結び以外の細部に目がいく。後ろのおはしょりモコッ、クシャッはめっちゃ目立つ…!
・裾の長さが気になる…短く見える子が多い(きっと室内で着付けてたときはちょうどよく見えたはず)、毎年いるけど踏んだのか引き摺っちゃってる子も。クールなコーディネートだと長めに着てるのは雰囲気に合っていてかっこいいけど、踏んでしまわないかヒヤヒヤする。着付けの前に草履の高さやサイズ感をよく確認しておく必要がある…!




振袖に限ったことではないけれど、スタイルを仕上げるのは着付けなのだと本当に痛感しました。
きものが美しければ美しいほど、着付けのアラは目立ってしまう。
きものそのものの美しさ、そして何より着ているご本人の魅力を引き立てるのは着付け。
着付け師とは恐ろしい仕事だなと思います。
でも、だから面白い。





さて振袖に関して今回とても面白い発見がありました。
振袖は「袖が長ければいい」になりつつあるということ。色無地、小紋柄、付け下げ風など柄はどんどん自由になってきている。
会場を見渡して、あからさまな言い方だけどいかにもお金をかけているのが分かる子とそうでない子の差が激しい、と感じました。
これ、いい傾向だと思います。
これまでそこまで興味がないから着ない、というお嬢さんが一定数いたところ、小紋柄など振袖の選択肢が広がったことで着やすくなったのかも知れない。
とすれば、業界人や正統派からは敬遠されそうな小紋柄やインクジェットなどの比較的安価な振袖のお陰で着用率が上がっていることになる。これはひとつの希望になり得ます。


着付けに関してショックだったのは、正直帯結びよりも小物づかいに目が行くということ。
着付け師にとっては腕の見せ所である帯結び、実は客観的には結び方よりも完成度の方が重要なんだと気付いたんです。
ショックではあるんだけど、裏を返せば本当に実力がものを言うということ。創作では誤魔化せないということ。
なんというか当たり前のことではあるんだけど、やっぱりそこに帰るんだなぁ!という気持ち。自分も気が引き締まりました。

着付け師さんたちにおいては昨日の通し矢、今日の成人式と超多忙な2日間ほんとうにお疲れ様でした。
先輩方の活躍をSNSなどで垣間見て頭が下がる思いです。着付け師のお陰でこの京都の2日間が成り立っています。




☆宣言&お知らせ☆

さて、今年の成人式を経てひとつ決めたことがあります。
水端ではこれまで振袖の着付けは原則としてお受けしておりませんでした。
それは私の技術が理由です。
一生に一度の晴れの日のお仕度をさせていただくには、自分の経験と技術がまだまだ足りないと考えていたからです。
しかし昨年何度か振袖のスタイリングや着付けをさせていただく機会があり、また今日の成人式を拝見して思うことは、
やはりきものを着る喜びを体験できる最大の日であるからこそお手伝いしたい。
きっと水端だからできる晴れ着の楽しみ方がある。
そう感じ、決めました。


2020年から振袖のスタイリング&着付けをレギュラーメニュー化します!!


お着付けのみ、小物スタイリング&着付けなど部分利用ももちろん可能です。
2020年の成人式のお着付けのご予約を本日(1/14)より開始いたします。
正統な着こなしも、洋装MIXなど個性的なスタイリングに挑戦したい方もお気軽にご相談ください。
20代のスタートを最高の晴れ着で迎えましょう!大人は楽しいよ!